肝臓痛み

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肝臓に痛み : 肝臓の痛みはなにかの兆候?がんの可能性は?

公開日
更新日

 
執筆:大見 貴秀(医師)
 
 
肝臓は人体にとって必要不可欠な様々な働きをする臓器です。
再生力が高く、痛みを感じる神経がないため不調が現れても自覚症状が発生しづらいことが特徴です。しかし肝臓に痛みが生じる場合もあります。「 肝臓に痛み 」を感じる時、それはどのような状態になっているのでしょうか?
 
 

肝臓が痛いのはどういうこと?

 
肝臓には痛みを感じる神経が存在しません。
そのため肝臓から痛みが発せられていると感じていても、肝臓そのものの痛みではありません。しかし肝臓を覆う腹膜(ふくまく)という組織には痛覚が存在します。
 
腹膜は肝臓だけではなくや大腸、小腸といった臓器の表面を覆っている生体膜です。
腹膜には毛細血管が網の目にように走っているほか、リンパ管や中皮細胞などが存在します。
 
腹膜の役割としては
・臓器の保護
・臓器への栄養補給
・臓器への酸素供給

などが挙げられます。
 
腹膜のほかに肝臓周辺の神経、筋肉などにも痛覚が存在し、肝臓の不調の際に影響を受け痛みを生じます。
 
肝臓に痛みが生じる原因は様々です。原因が単一ではなく、肝臓の痛みを引き起こす病気の種類によって原因があるため、それぞれの治療が痛みを鎮める手段となります。
 
 

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肝臓が痛いことで疑われる病気

 
肝臓が痛む場合、以下のような病気が考えられます。
 

急性肝炎

急性肝炎は肝炎ウイルスのうちA、B、C、D、E型のウイルスにより発生します。
A、E型に関しては、主にウイルスが含まれた水や食物の摂取によって感染します。B、C、D型に関しては血液や体液により媒介され、輸血や性行為、注射針の回し打ち、刺青などが感染原因となります。
 
肝炎ウイルスは体内に侵入してから3~8週間ほどの潜伏期間を経て、症状を発生させます。
 
急性肝炎の症状としては以下のようなものが挙げられます。
 
・風邪のような頭痛や発熱、の痛みなどの症状
・右腹の痛み
・倦怠感
・食欲の低下
吐き気
・嘔吐
・黄疸
尿の色の変化(黄色から黒褐色へ)

 
急性肝炎はその名の通りウイルス性の肝炎のため肝臓の細胞が急激に破壊される病気です。
そのため一時的に黄疸が発生したり、尿の色が変化したり、ALT、ASTといった数値が上昇したりといった症状が発生します。
 
しかし急激な変化であるために、肝臓内のウイルス排除も短期間で行われるため、通常1~2か月程度で治癒することが特徴です。
 
 

劇症肝炎

急性肝炎の患者のうちおよそ1%の人が劇症肝炎になると考えられています。
劇症肝炎の初期症状は、急性肝炎と似たような症状が発生しますが、急性肝炎の症状が1週間ほどで軽減されていくのに対して、劇症肝炎に関しては症状が重症化していくことが特徴です。
 
劇症肝炎の初期症状としては以下のようなものが挙げられます。
 
・風邪のような頭痛や発熱、喉の痛みなどの症状
・右腹の痛み
・黄疸
・尿の色の変化
・倦怠感

 
そして、症状が進行するにつれて
・呼吸の乱れ
・意識障害
・昏睡
・出血しやすくなる
拍が激しくなる

などといった症状が現れます。
 
最終的に
・脳浮腫
・消化管出血
障害
・感染症

といった重い合併症を引き起こすことも多く、生存率は30%程度という低いものになります。
 
 

肝臓がん

肝臓がんが進行してがん細胞部分が大きくなるにつれ、腹膜や神経を圧迫することにより右腹の部分に鈍痛の症状が現れます。
 
また肝臓がんの症状が進み末期症状となることで肝臓のがん化した部分が破裂する「肝細胞がん破裂」を引き起こすことがあります。
肝臓がんが破裂することで大量の出血が生じ、腹膜や神経部を圧迫することで非常に強い痛みが発生することが特徴です。
 
 

肝臓が痛いときは

 
肝臓には痛みを感じる神経が存在せず、再生能力も高いため多少の不調がある状態で痛みが発生することはほとんどありません。そのため肝臓の痛みが発生した場合はなんらかの肝臓病がある程度進行していることが疑われます。そのため肝臓の痛みを感じた場合は大事をとって病院へ行くことをおすすめします。
 
肝臓は腹部の右側に位置する臓器です。腹部の右側、右上側に痛みが発生している場合は注意しましょう。
 
 

「 肝臓に痛み 」 まとめ

 
肝臓には痛みを感じる神経が存在しません。そのため肝臓そのものが痛みを発することはありません。
しかし肝炎により腹膜が刺激されたり、がん細胞が成長することにより腹膜や神経が圧迫されたり、細胞は破裂することにより出血が生じ神経を圧迫することで痛みが発生する場合があります。
 
肝臓に痛みが生じている場合はなんらかの肝臓病がある程度進行していることが考えられるため、痛みを自覚したら念のため病院に行きましょう。
 
 
大見 貴秀
 
大見 貴秀 署名
 
<執筆者プロフィール>
大見 貴秀(おおみ・たかひで)
医師、ヘルスケアライター。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、日本抗加齢医学学会会員。
本業である麻酔科医としての活動の傍ら、病気・疾患の予防を啓蒙するためヘルスケアライターとして活躍。
 
 

オススメリンク

 
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